癖になる可愛さ ハイエナ
あいつはハイエナのようなやつだ……というのは人を揶揄する表現の一つで、いい意味では使われないですよね。またディズニー映画での悪役の影響もあってか、ハイエナに肯定的なイメージは少ないようです。
ハイエナは、動物の死体だけを食べていると思い込んでいる方もいますね。そこから「サバンナの掃除屋」と呼ばれることもあります。
実際にはどうなのでしょうか? 実はハイエナって、ライオンにも劣らない「狩の名人」なんだそうです。野生では、ペアか群れで生活し、自分たちより体の大きなキリンやスイギュウなどを狩猟することもあるといいます。ほかに鳥類や爬虫類、魚類なども食べます。
ライオンの食べ残しや屍肉を食べることもあり、そこから腐った肉を好むというイメージが定着したようですが、狩りもちゃんとやります。特に、4種いるハイエナのなかでブチハイエナは、圧倒的に狩りによる捕食が多いそうです。
大阪の天王寺動物園には3頭のブチハイエナが暮らしています。自然界同様、雌がリーダーで、名前は愛さん(サバンナ生まれのため年齢は不詳ですが推定18歳)。そして、雄のレイさん(12歳)と雌のハナさん(6歳)がいます。
基本的に午前中は最年少のハナさんが、午後からは愛さんとレイさんのペアがグラウンドに出ています。
お客様はブチハイエナと書かれたプレートを見ると興味深げにハイエナ舎前に集まってきます。「ライオンキング」のおかげで知名度はバッチリのようです。そして、つぶらな瞳に愛くるしい動きを目にして、映画とは真逆の姿に驚きをみせます。
実際、「かわいい!」といった黄色い声が飛びます。イメージと現実のギャップが、いい方向にはたらいてくれているようです。
▲愛さんはなぜか流木がお気に入り
なかには、お腹が大きな愛さんを差して「妊娠しているのかな」といった声があがります。この点を飼育員さんにお聞きすると「ただのメタボです」ということでした。
リーダーの貫禄と解釈しておきましょうか。
▲愛さんから先に入ります
事実、おやつの時間もプールに入るのも愛さんが一番乗り。レイさんはいつもおとなしく待っています。この夫婦に下克上はありません。
▲レイさんが入浴中
愛さんは牛肉がお好み。レイさんは、食べるのが早い。もしかすると天王寺動物園ナンバーワンの早食いかも、ということです。そしてハナさんはぱっちり瞳がチャーミング。
▲ハナさんは寝てばかりでした
姉さん女房愛さんと尻に敷かれるレイさん、まだまだ幼さを残すハナさん。一度会いに行ってみてください。きっとブチハイエナの魅力を知ることになるはずです。